ぎっくり腰はクセになる?再発しない体をつくる整体的アプローチ

「また腰やった…」それ、あなたのせいじゃないかも?

「朝、顔を洗おうと前かがみになった瞬間…」「荷物を持ち上げたら腰に電気が走った…」
そんな“ぎっくり腰”の経験、あなたにもありませんか?

そしてもっと恐ろしいのは、「一度やるとクセになる」と言われる再発のリスク。
実際、私の整体院に来られる方の多くが「半年ぶりにやっちゃって…」「毎年の恒例です…」とおっしゃいます。

でも本当にぎっくり腰はクセになるのでしょうか?
そして、整体で再発を防ぐことはできるのでしょうか?

本記事では、整体師としての臨床経験と身体の仕組みから、再発を防ぐための体づくりのヒントをわかりやすくお伝えしていきます。

ぎっくり腰の正体とは?突然の「魔女の一撃」はなぜ起こる?

ぎっくり腰は正式には「急性腰痛症」と呼ばれます。突然、腰に激痛が走り、身動きが取れなくなることが多いのが特徴です。

◆なぜ突然痛むのか?

多くの場合、次のような要因が積み重なった結果、限界を超えた時に発症します:

・筋肉や筋膜の慢性的な緊張(特に背中〜腰)

・骨盤や背骨の歪み・不安定性

・内臓疲労や冷え、自律神経の乱れ

・睡眠不足やストレスによる筋肉の回復不良

つまり、ぎっくり腰は“突然起きた”ように見えて、実は日々の体の使い方や状態が積み重なって起きているサインなのです。

「クセになる」って本当?ぎっくり腰が再発する理由

◆クセになる=原因が残っているから

「クセになる」と感じてしまう最大の理由は、痛みが取れたこと=治ったと勘違いしているからです。

実際には、ぎっくり腰の原因となる「骨格の歪み」や「筋肉のアンバランス」はそのままで、また同じ姿勢・動作を繰り返せば、何度でも発症のチャンスがあるという状態です。

◆再発しやすい人の特徴

  • 姿勢が悪く、猫背・反り腰がある

  • 長時間座りっぱなしの仕事

  • 身体を冷やしやすい(夏場のエアコンも注意)

  • ストレスや睡眠不足で回復力が低下

  • 一度のぎっくり腰後、根本的なケアをしていない

こうした条件が揃えば、当然「クセになる」と感じるわけです。

整体師が見ている「ぎっくり腰の本当の原因」

整体的な視点でぎっくり腰を見ると、単なる筋肉の問題ではないことがよくわかります。

◆骨格の歪みと不安定性

骨盤や背骨が歪んだり、本来の可動性が失われていたりすると、特定の筋肉にばかり負担が集中し、ぎっくり腰のリスクが高まります。

特に多いのは、

・片側の骨盤が上がっている

・背骨のS字カーブが崩れている(猫背や反り腰)

・肋骨の動きが悪い

こうした歪みがあると、“使うべき筋肉”が使えず、“代償している筋肉”に過剰な負担がかかっている状態になります。

◆呼吸の浅さと内臓疲労

デスクワークやストレスで呼吸が浅くなり、横隔膜や腹圧がうまく使えなくなると、腰まわりを支える力が弱くなります。

さらに内臓疲労(特に腸・腎臓)や冷えも、腰周辺の筋肉の緊張や血流低下を引き起こし、ぎっくり腰の土壌を作ります。

再発させないために!整体的アプローチで変わる5つの習慣

整体では、単なる「痛みを取る」だけでなく、再発しない体づくりを重視します。
以下に、ぎっくり腰を繰り返さないために大切な5つのアプローチを紹介します。

 

①骨盤・背骨のバランスを整える

まずは、身体の土台である骨盤と背骨の歪みを整えることが最優先です。整体では、やさしい手技で関節や筋膜のバランスを調整し、身体の軸を戻します。

定期的なメンテナンスで、「歪みぐせ」→「正しい姿勢ぐせ」へと習慣を再構築していくことが再発予防には欠かせません。

② 深い呼吸と腹圧を意識した体幹づくり

呼吸が浅いと腰まわりの支えが弱くなります。
整体施術後におすすめしているのが「ドローイン」や「腹式呼吸」を取り入れた簡単な体幹トレーニングです。

無理な筋トレではなく、“自然な腹圧で体を支える”ことを習慣化させるのがポイントです。

③ 正しい立ち方・座り方の習得

ぎっくり腰の多くは「日常の姿勢」が関係しています。整体では、以下のような指導も行います:

・骨盤を立てた座り方

・骨で支える立ち方

・荷物を持つときの体の使い方

こうした「体の使い方」が変わると、腰への負担も激減します。

④ 冷え対策と内臓ケア

体の深部が冷えると、筋肉が緊張してぎっくり腰の引き金に。
整体では、腸や腎臓の周辺の筋膜リリースや、お腹を温めるケアも取り入れることがあります。

自宅では、

・お腹と腰を温める

・白湯を飲む習慣

・寝る前の湯船入浴

など、内臓をいたわる生活習慣が再発予防に効果的です。

⑤ 睡眠とストレスケア

意外かもしれませんが、ぎっくり腰と「自律神経」の関係は深いです。
睡眠不足やストレスで回復力が落ちると、筋肉の張りも取れません。

整体では、副交感神経を優位にするような施術(頭蓋や足元への調整)も行い、心身の緊張を緩めるサポートもします。

まとめ:ぎっくり腰は「クセ」ではなく「警告」だった!

「ぎっくり腰はクセになる」――それは半分本当で、半分誤解です。

正しくケアすれば、ぎっくり腰は再発を防げる!
それが整体師として多くのクライアントと向き合ってきた私の実感です。

もしあなたが過去にぎっくり腰を経験していて、「またなったらどうしよう」と不安に感じているなら、それは体からのサインかもしれません。

そのサインを見逃さず、日常の姿勢・呼吸・習慣を見直し、根本から変えていくことが何よりの予防策になるのです。

最後に:整体でできること、あなたに合った体づくりを

整体は、単に「痛みを取る場所」ではなく、「再発しない体」を一緒につくる場所です。

自分の体を信じて、じっくり整えていく習慣を持つこと。
それがぎっくり腰から自由になる、第一歩となります。

参考文献・情報源一覧

日本整形外科学会「腰痛」情報ページ

 

厚生労働省「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」

 

・木村裕明著『筋膜リリースで肩こり・腰痛を治す』(青春出版社)
 → 筋膜・姿勢・体の使い方に関する実践的アプローチが豊富。整体施術の根拠に活用可。

藤田紘一郎著『腸内フローラが健康を決める』(祥伝社)
 → 内臓疲労と筋肉・自律神経の関係性を語る一冊。冷えや内臓とのつながりの補足に。

てて整体所