年齢を重ねるとともに多くの方が悩まされる「五十肩」。肩が痛くて腕が上がらない、夜に疼いて眠れない…。そんなつらい症状に、毎日の入浴時間を活用してケアできるとしたらどうでしょうか?
本記事では、整体師の視点から五十肩に効果的なお風呂での温め方やケア方法、そして注意すべきポイントをわかりやすくご紹介します。
五十肩とは?お風呂ケアの前に知っておきたい基礎知識
五十肩の正体は「肩関節の炎症と拘縮」
「五十肩(肩関節周囲炎)」は、肩関節を構成する筋肉・腱・関節包に炎症が起きることで、痛みと可動域制限が生じる状態です。
発症は突然で、はじめは肩を動かすときの痛みから始まり、徐々に腕が上がらなくなったり、夜間痛がひどくなるなど、生活に支障をきたすケースが多く見られます。
時期ごとの症状に合わせたケアが大切
五十肩は「炎症期」「拘縮期」「回復期」の3つのステージをたどります。
炎症期(発症〜数週間)
痛みが強く、夜間痛も出やすい時期。無理な運動は厳禁。
拘縮期(数週間〜半年)
痛みは落ち着くが、肩が動かしづらくなる。
回復期(半年〜1年)
徐々に可動域が戻る。適度な運動が有効。
それぞれの時期に合ったケアを行うことが、回復を早めるカギになります。お風呂でのケアは特に「拘縮期〜回復期」に効果的です。
お風呂が五十肩に効く理由
血流改善で関節周囲の硬さを和らげる
お風呂の温熱作用により全身の血流が促進され、肩周囲の筋肉や関節包も柔らかくなります。五十肩では「肩を守ろう」とする身体の反応で筋肉が硬くなりやすいため、まずは温めてリラックスさせることが大切です。
自律神経のバランスを整え、夜間痛を軽減
特に40℃前後のぬるめのお湯にゆっくり浸かることで副交感神経が優位になり、リラックス効果が得られます。この作用により、痛みで眠れないといった夜間痛の軽減も期待できます。
整体師が教える!お風呂でできる五十肩ケア5ステップ
ステップ①:お湯の温度は「40℃前後」に
熱すぎるお湯はかえって体に負担をかけ、炎症を悪化させる可能性があります。
38〜40℃程度のぬるめのお湯に、10〜15分ゆっくり浸かるのが理想です。
ステップ②:現状動かせる範囲の限界のポイントまで肩を動かす
五十肩の場合、動かして痛くなっても1分以内に痛みが治まるのは大丈夫な痛みです。動かして1分以上経っても痛みが治まらない場合は、それ以上動かすのはやめましょう。
※動かしていなくても痛みが強いときは控えてください。
ステップ③:シャワーを利用して局所を温める
湯船が苦手な方は、シャワーで肩の前・横・背中から温めてみましょう。シャワーヘッドを少し離し、5分程度優しくあてると血行促進になります。ただし、出来るのであればしっかり肩まで湯船に浸かった方が良いです。
ステップ④:温浴後はすぐに冷やさない
せっかく温めた体を冷やしてしまうと、筋肉が再び硬くなります。
お風呂上がりは肩にバスタオルをかけたり、温かい部屋で軽くストレッチをしてから服を着るようにしましょう。
ステップ⑤:保温と湿布の使い分け
夜間痛がある方は、入浴後に温湿布や蒸しタオルで肩を保温してみてください。
ただし、炎症が強い時期は冷湿布の方が適しています。迷ったときは専門家に相談しましょう。
注意!お風呂ケアでやってはいけないこと
熱すぎるお湯に長時間入る
熱いお湯は交感神経を刺激し、かえって筋肉を緊張させます。血圧上昇や心臓への負担もあるため、高齢者の方は特に注意しましょう。
湯冷めや転倒に注意
入浴後に体が冷えると逆効果です。長袖などで肩から手首までがあまり露出しないようにしたり、肌着だけでなく一枚羽織るように心がけましょう。また、浴室は滑りやすくなっているので、足元には十分注意し、滑り止めマットや手すりを活用しましょう。
こんな症状があれば要注意!整体院や医療機関の受診を
お風呂ケアはあくまでセルフケアのひとつです。以下のような症状があれば、整体院や病院でのチェックをおすすめします。
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安静時も強い痛みが続く
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腕が全く上がらない、服が着られない
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3ヶ月以上経っても改善が見られない
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夜間に痛みで何度も目が覚める
整体院では、肩だけでなく「肩をかばって硬くなった首・背中・肋骨」など全身のバランスを整える施術が可能です。
お風呂を味方に!五十肩と上手につきあうために
五十肩は放っておいても治る…と言われることもありますが、何もせずに長引かせてしまうと、可動域が戻らず「慢性の肩こり」や「姿勢の歪み」に発展することも。
毎日の入浴をうまく活用することで、痛みの緩和や可動域の改善が期待できます。
入浴中のちょっとした工夫や意識の変化が、つらい五十肩の回復をグッと後押ししてくれます。自分の身体と向き合う時間として、今日から始めてみませんか?
当院では、五十肩の状態に合わせて施術や運動指導、日常生活のアドバイスも行っています。一人で悩まず、ぜひプロの手も借りながら「無理なく、やさしく」肩をいたわってあげてくださいね。
参考文献
・『標準整形外科学』医学書院(2020年版)
内容: 整形外科領域の教科書的存在。五十肩の病態・経過・治療法を専門的に記載。
・『運動器疾患のリハビリテーション 第2版』南江堂(2021)
内容: 肩関節疾患の運動療法や温熱療法の実際が掲載されており、整体的アプローチの理解に役立つ。
・日本温泉気候物理医学会「温熱療法の医学的効果」
内容: 温浴による血流改善や痛み緩和のメカニズムに関する医学的知見を提供。
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てて整体所でございます。